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       正法眼蔵 坐禅箴

あとがきのご紹介です。

 この坐禅箴提唱録は2018年の06月から高知坐禅会を開催、実際の坐禅会で六回、2020年はコロナ感染のためオンラインZOOM禅会になって、五回分、計十一回分の収録です。思いもかけない災厄の中で、老師のお力、皆さんの辦道への熱意により、続ける事が出来て完成に至りました。コロナ禍の中で生まれた宝物です。

 この坐禅箴は、薬山弘道大師の「非思量」、南嶽禅師と馬祖道一禅師師弟の「図作仏、磨作鏡」から始まる対話、そして宏智禅師の「坐禅箴」と道元禅師ご自身の坐禅箴で構成されています。坐禅をする上での最も大事な基本がしめされ、その修行をされた祖師方の在り様、さらにその要機が宏智禅師、道元禅師の坐禅箴として展開されています。

 貫道老師は、全体を通して、道元禅師のご著述に忠実に、語句を正しく解釈され、その真意を伝えて下さいます。道元禅師の難解なご文章を分かり易く説いて下さっています。

 南嶽禅師と馬祖禅師の「図作仏」と「磨作鏡」は、悟りを開いた祖師方同志のやりとりで、一般に考えられている様な範囲の事ではないと、貫道老師はご指摘されています。

 宏智禅師の「坐禅箴」、それについての道元禅師のご解釈、そして道元禅師の坐禅箴のご提唱を拝読していると、人智を超えた広大な世界を体験している様に感じます。

 高知坐禅会の開催にあたっては初めて坐禅に触れる人がおおく、道元禅師の事も知らない方が多い状況でしたので、貫道老師は、丁寧に噛んで含める様にご提唱下さっています。ご提唱の途中でも質問があったりして、活発な禅会でした。オンラインの法話と比較すると、貫道老師がその場の聴衆に応じて提唱をして下さるのが良く分ります。ライブ(その場でお話しをお聴きする)の良さだと思いました。

 オンライン法話は、スムーズに進みますので、読むものとしては纏まった構成になっています。老師が挿入して下さる、禅の言葉は意義深く伝わります。

 最後に貫道老師のお話しの中の一節をご紹介します。

 「道元禅師がおっしゃっておられる様に、この宏智禅師の坐禅箴というのは、坐禅をする時どうあったら良いかって方法論の様に思うかも知れませんけども、もう已に方法論を超えているのですね。今、各自、今自分の様子そのものにこう居ますから、辿り着くとかって言う様な気配が無いのですね。今誰しもが、こうやって今坐って居る時の自分の真相そのものをイキナリこう見せてくれてるんですね。そう言う処が非常に、有難い事だとおもいます。少し付け加えさせていただけば、分るとか知るとか言う前にちゃーんとした生活が今出来ている。さらに言えばですね、向こうとこちらとか言う様なものを考えたのは随分後の事なんですね。最初は向こうとこっちとかって言う事を無しにイキナリ自分の真相そのものにこうやって居ます。誰でもそうです。今こうやって坐って居る時の様子に触れたらよーく分る様に、一切他の人の様子は何処にも出て来ません。そして私の様子だけだって言う様な、そう言う事さえも無しに居ます。こう言う様なものが、宏智禅師の坐禅箴の中心になってる筈です」